中・高教師用ニュースマガジンとは、授業実践・指導法・研究・研修・ワークショップなど教師に「価値ある情報」を2000年3月から配信しています。ブログ暫定版として閲覧ください。
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 日刊『中・高校教師用ニュースマガジン』(中高MM)☆第1708号☆
                  2007年1月21日:日曜日発行(不定期)
  編集・発行 梶原末廣   sukaji@po.synapse.ne.jp
  http://www.synapse.ne.jp/~kanoyu/sukaji/index.html
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■【新連載】「末吉(すえきち)日記」山口祐子
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【連載】

■「末吉(すえきち)日記」(1)


                   山口祐子(鹿児島県)
                   yayuyo@mocha.ocn.ne.jp  


初詣に行ってひいたおみくじが末吉だったので、今年の考現学(日々の気づきを書いて
公開)のタイトルは末吉日記。おみくじの内容は「自分の心の本来の清さを保ちなさい」
というアドバイス。むむっ!心がよどんでいたか…と見透かされたような気持ちになり、
今年の考現学のタイトルにして自分の心のありように気を向けていく年にしたいと思っ
ています。

● プロフィール
  1966年鹿児島生まれ(40歳)
大学卒業後、公立中学で6年間国語の教員。教育を本気で考え始め退職。学校以外の
教育現場を見たくて東京へ。そこでセルフラーニングを提唱する平井雷太さんと出会う。
平井さんがセルフラーニングの道具としてつくりあげたらくだ教材で学び、翌年帰鹿し
てらくだ教材を使った教室「すぺーすシーズ」をスタート。

今はプリントでつく力と、相手が言おうとしていることをわかった気にならずに問いかけ
ていく、しつこいコミュニケーションを大事にしたスペース作りを心がけている。結婚し
て11年目を迎えた夫(高校の体育教員)、飼い始めて3年目のミニチュアダックス(ノア)
が家族。


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シーズにやってくる子どもたちをみていると、子どもは実に頭がいいと思います。
親とのやりとりを聞いていると、自分に都合の悪いことは絶対に口に出さないとっさの
判断力には、本当に感動します。生きる力に満ち満ちていると思います。もちろん私と
話す時もうまいことやってるわけです。しかしその場しのぎでずっとこれを繰り返してい
ては成長がないので、そこを見逃さずにチェックを入れるのがとても大事な気がします。
言い逃れができない相手として向き合いつつ、追い込みすぎないというバランス(なん
でもバランスです)・・・・、頭を柔らかくして先を読まなくちゃ・・・・大変ですが、とっても
スリリングです。


決めるということがなかなかできずに、でもいつかできるようになりたいと願う大人であ
る私は、できずにいる子どもたちの考えることや、言いそうなこと、やりそうなことがよく
わかります。「うっしっし、そうきたか!」と思うわけです。


しかしこのところお手上げなのは、「自分がどうしたいのかわからずにいる子ども」との
向き合い方です。今できずにいることはぜんぜん問題じゃないし、いつかできるように
なればいいと思ってきましたが、できないままでもいい(またはできるようになりたいと
いう気持ちをまったく持続できないか)と思っているとしか思えない子どもがいるので
す。どう働きかけたらいいものか、もちろん他の子同様「この人は絶対できるようにな
りたいと思っている」と思い込んで対応しているわけですが、それじゃあ的外れ?と思
うことも多いです。


今日も教室にくるはずだった子が一人、冬休みの宿題が終わってなかったのを、昨夜
徹夜で仕上げて学校に行ったとかで、友だちとの約束もすっとばして爆睡してしまった
そうで、親が起こしても起きないと電話がありました。逆にお母さんにあたりちらして自
分で電話もせずにまた寝てしまったとか。こんな時、どうしてあげたらいいのか。普段
は穏やかで人当たりのいい中学生である彼も、自分をコントロールできずにいるので
しょうけれど・・・、お母さんは大変そうです。こういうことが何度かあるので、教室に来
ているときに話しもしているのですが、さっぱり入っていかないようです。


「決めたことをやりとげる」とか「約束を果たす」とか、たとえできなくてもできなかった
ことを残念と思っている場合は、その後の話し合いも意味を持ちますが、まったくなか
ったことのように平気な様子をみているとどうしたもんだか・・・と頭が痛くなります。と
りあえずそこまでの過程を確認して、一から話し合うということをしていますが、それ
も意味があるのかと考え込んでしまうこともあります。 とはいうもののめげない気力
は身についてきたと思います。これはおかげさまというべきか!?

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===編集日記===

 皆様に支えられて「日刊・中高MM」第1708号の発行です。

 同行二人という言葉があります。人はひとりが気楽であるが、案外と退屈する人と
そうでない人がいる。人はこの世に「オギャー」と生まれてくる、そしてひとりで旅立つ。
「オギャー」を喜びと解釈する人もあれば、この世は苦しいと考える人もいる。他者との
比較さえなければ、人間は楽に生きられる。様々に文明や文化の進歩発展で人間は
苦しみを背負う。人間の本来の営みに戻ることができれば、悠々自適に暮らせるが、
そうもいかないのが現代人。
 子供に対してその子の気持ちに寄り添いながら子育てをする、言うは易く行いは難し。

 以前、平井雷太の作品を連載いただきましが、そのご縁で今回山口祐子さんの作品
を配信させいただけるようになりました。どうぞよろしくお願いします。

 昨日と本日は「大学入試センター試験」です。日本の若者の将来を左右する試験。
昨日は春の気配のお天気でしたが、今日は一転して雨模様。今夜は受験生や家族の
夢を膨らませる。

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                     皆様のご意見・ご感想お待ちしています。
                     sukaji@po.synapse.ne.jp
                     梶原末廣【インターネット編集長】
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中・高校教師用ニュースマガジン 2000年3月26日創刊
  編集・発行 梶原末廣 sukaji@po.synapse.ne.jp   
    【発行部数1583名】(12/31)
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【2007/01/21 22:17】 | 教育全般
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【連載】

■ 「想いは南風に乗せて-あなたの心に」(33)

                  堂園 晴彦(堂園メディカルハウス院長)
                  haruhiko@dozono.co.jp
 

◆『納得』


「死に臨んで最も有効な処方は『納得』である」。私が尊敬する精神科医神田橋條
治博士(伊敷病院勤務)は、そう教えてくださいました。


一九九一年、鹿児島で最初にホスピス医療に取り組み、現在まで千人以上の方を
看取りました。在宅での最後は3割弱です。


2万人以上の最後を看取ったエリザベス・キューブラロス博士(ホスピス医療の神
様と言われている)は、死に逝く人のために精力的に本を書いていましたが、最
後にどうしても書いておかなければならないと強い思いから書いた本は、「ライフ
レッスン」という、生きるための本でした。


キューブラロスはこの本の「はじめに」のなかで、「人は死が近づくと遣り残したこと
に気がつく。しかし、そのことをするには遺された時間が余りも少ない。豊な最後の
時を過ごすには結局自分が本当にしたいことをしたと思う人生を送ることである」と、
書かれています。


最近読んで痛く感動した本は、浅田次郎の「椿山課長の7日間」です。急にあの世
に行き、遣り残したことをするためにこの世に戻ってくる話です。


今年五十四歳になり、「先は短くはないが、長くはない」と、頓に思うようになりまし
た。人生も折り返し地点を過ぎると、「幸せは、地位や名誉や財産に関係なく、納
得して毎日を過ごすつみかさねかなあ~」等と、肩の力も抜け、四方八方に目配
りできるようになってきつつあります。


最近在宅で亡くなれた仁田尾仁美さんの人生のテーマは「納得」でした。肺癌で脳
に転移し歩くことも儘ならないのに、いつも身奇麗にし、杖をつきながらも背筋を伸
ばし凛として通院されていました。


死期が迫り、最後の時を意識したのかご主人に「遺影は笑った写真にして欲しい。
綺麗な花で祭壇を飾って欲しい」と、希望されました。その望み通り、自宅で自分の
納得した部屋模様と音楽で、最後の時空を過ごされました。葬儀に参列し、詩が浮
かびました。


私たちが最後の時のお手伝いをしたから豊な最後を送れるのではありません。豊な
最後は、あくまでも、本人が人生を「自己選択」し、その選択に「自己責任」を持ち、
そして、結果はどうあれ、「納得」したかによるようです。家族が良かれと思い段取り
をしてあげても、本人が納得しなければ「小さな親切、大きなお世話」になりかねま
せん。


人生の真の勝利者は単なる勝ち負けではなく、たとえ負けても「納得した敗北者」は、
「不本意な勝利者」に勝るようです。人生最後の数週間がその事実を物語っていま
す。


私は、日本のワールドカップの結果に「納得」していますが、皆様は如何でしたでし
ょうか。

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【2006/12/30 16:04】 | 教育全般
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【連載】

■「総合学習を本当の生きる力の育成につなげよう」(176)高橋りう司


             ライフスキル・グループ および
             日本未来問題解決プログラム
             高橋 りう司 (東京都)
             ryuji(アットマーク)lifeskillsgroup.com



◆ どの「お金教育」の優先度が高いのでしょう?


私の受けたお金教育(家庭・学校)の思い出しを行いました(先週の原稿)。
その結果、「お金の節約管理のしつけ・教育はあったかもしれないが、お金を“積極的
に学んでいくこと”は、ほとんどなかったのではないか」と思いました。

大人は、子どもたちに、食っていける人になって欲しいと思っています。お金を稼ぐ力
を持てなければ困ります(これも先週の原稿です)。ニートの問題深刻化と関係があ
りますが、お金を稼げる人になってもらうという観点から、日本の教育の点検が始ま
っています。文科省が考え方の修正を図るなど、開始されています。


1) お金を稼げる人を育てるための教育レパートリー:

・国語や社会などの教科を、「社会で生きる力」学習として再位置づけし、“生活”の中
に入れ込む(文科省の新しい強調点)
・問題解決学習(未来問題解決プログラムを参照してください)
・商品開発模擬演習・・・中高MMの拙稿
http://www.geocities.jp/ryuji_japanabc/sougoulessonplanmarketing.html

・貿易ゲーム、トレーディングゲーム
・株式投資シミュレーション(野村証券など)
・キャリア教育(中学生の職場見学など)
・職業準備教育(農業高校、工作機械運転などの専門技術)

どの教育をやっていきたいのか、目標をもっとクリアに思い浮かべなければならないで
しょうし、何が足りないのかという生徒の能力の現状理解から選択・デザインをしてい
かなければならないでしょう。

2) 社会貢献のあり方を考える教育

そして、自分が食べていくことができるようになったら、社会への貢献を考えなければ
ならないでしょう。ただ、「社会貢献しましょうね」というのでは、教育として迫力があり
ません。社会への貢献という行動だけでなく、お金を軸として社会がどういう構造にな
ったときに住みやすい社会になるのかという観点からの学習や議論がなければならな
いでしょう。

関西大学の岡本教授が、『「大人の仕事は大変なんだ。一回体験してみれば分かる」
とか、「公共への奉仕を体験させたい」とかというような水準で、十分な位置づけのな
い現代的な意味を持たないままで』奉仕に関する教育の義務化が行われてはいけな
いとコメントされています。

税金、企業活動+企業の市民活動、社会貢献・チャリティの望ましい分担が何なのか、
を学習していけると良いですね。

このことが、「お金の稼ぎ方」にもフィードバックするように思います。

未来問題解決プログラムの9月の指導者研修会でも、「社会貢献・ボランティアと資
金獲得」のトピックをとりあげました。クラスのボランティア学習に活用されたい方に
メールでお送りできます。希望する方は高橋までお申し込み下さい。

「お金の流れを軸としたときの、住みやすい社会を研究する学習」は、NIEではあり
ませんが、新聞にたくさん生の素材があります。

9月28日の朝日新聞の紙面から拾うだけで、とても面白い素材がありました。読者
のクラスでの討議に使える素材だと思います。


・「東京大気汚染公害訴訟」は96年に始まり、06年の6次提訴まで及んでいる。東
京都がぜんそくになっている患者を対象に、医療費の一部、年数十億円を助成す
る政策を始める。ディーゼル車メーカーが財源の一部を負担する。

・石綿被害者に対する救済法が施行されて半年経つが、申請した患者のほとんど
が認定を得られず死んでいる。手続きの周知不足、病院側の診断技術が 未熟で
対応できていないこと、中皮腫・肺ガンに限定してびまん性胸膜肥厚の患者が対
象になっていないなどの問題が指摘されている。

・米国での心臓移植手術のための募金活動が実り、10月にロサンゼルスで手術
を受けるはずだった東京・三鷹市の57歳の男性が亡くなった。1歳の子どものよ
うな場合は半月で目標額を上回ることがあるが、57歳の大人の手術に募金の
スピードは遅かった。三鷹市に住むボクシングの輪島さんがイベントの応援をし
てくれた。「人の命に貧富・年齢の差別はない!」と。また、三鷹の中学生が「困
っている人のため周りが協力して助けていく大切さを思った」と募金活動を呼び
かけた。

集まり、不要になった6000万円は日本移植支援協会に託すことが検討されて
いる。輪島さんは「先進国の日本でなぜ移植ができないのか、助け合いの精神
はどうなっているの」と語った。



最後の心臓移植の件、ホームステイしているフィンランドからの留学高校生に
話しをしました。 それに対する感想は次のようでした。

・フィンランドではこういう個人救援のチャリティはないらしい。
・57歳はもう十分生きたのではないか
・この高額資金を使えば、もっとたくさんの人に医療を提供できるのではないか
・日本は年齢社会で、いつもは大人が上に居て、子どもは下に居る。こういうと
きだけ、上も下も一緒になるの? これに対して何と言おうかと、結局、口の中
でモグモグ言っていました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■【 2006年 東京ウィメンズプラザ創立周年事業 】のお知らせ

男女共同参画社会づくりのための創造的問題解決ワークショップ
"詰め込み知識ではなく"、 創造力で乗り越えよう

少子化/就業環境変化などの困難が押し寄せています。男女共同参画を工
夫しなければ困難を乗り越えられないと思います。
男女共同問題、地球温暖化、世界の貧困・飢餓問題、地方の過疎問題、他に
も私たちの社会は困難を抱えています。創造力=生きる力向上が困難を突破
する鍵です。
(ワークショップの目的)
・アイディアの創造の訓練
・男女共同参画社会実現上の障害を克服するアイディアを一緒に生み出すこと
(参加対象) 男女共同社会を楽しく生きたいと願う全ての男女が対象です。
・少子化などへの影響が大きく、国をあげて取り組んでいる男女の協力問題に
ついて、授業での取り組みを研究している学校の先生、カウンセラー
・学生、会社員で男女の壁を克服する主体的な動きをしたい方
・親もしくは地域の子供会リーダーの方で、子どもが男女共同の障害を自力で
乗り越えて知恵を築けるように指導したいと思っている方
・会社の文化をより男女の理解が高まり生産性の高いものに変革したいと思っ
ている経営者、マネジャーの方

(ワークショップ内容)
・男女共同参画社会をつくる創造的問題解決プロセスを学ぶ。
・男女共同参画がうまくいっていないケーススタディに上記の思考プロセスを
適用して、問題解決の体験をする。
 講師:高橋りう司(日本未来問題解決プログラム代表)、伊神亜衣(同 企画
チーム)
(日時・場所)
・2006/10/13(金) 13:30~16:30
・東京ウィメンズプラザ第2会議室 (東京・青山)
(費用)
500円  テキスト費用 『男女共同参画社会をつくるための創造的問題解決
テキスト』
お問い合わせは、T&F 042-637-9505
メールは renraku(アットマーク)lifeskillsgroup.com

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*日本未来問題解決プログラムのメルマガ『週に10分で子どもの創造力を鍛
える』を無料購読しませんか。朝のホームルームの時間などに、子どもの創
造力を鍛える頭の体操に使えるネタを配信するものです。サンプルとなる回
答も一緒に配信します。
http://www.geocities.jp/fpspjapan/futuremerumaga.html

*総合的学習の参考になるプロジェクト・マネジメントのテキストを差し上げ
ます。ご希望の方は、「Pjmgtのテキスト希望」と書かれ、お名前、ご職業、
都道府県名を添え書きの上お申し込み下さい。e-mail添付ファイルにてお
送りします。なお、フリーメールで容量オーバーのためにメールが届かない
方がおられます。確認をお願いします。

renraku(アットマーク)lifeskillsgroup.com

*SEL記事、SEL論文、いままでの連載のバックナンバーはライフスキル
のホームページでもご覧になれます。  

http://www.lifeskillsgroup.com


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【2006/12/30 16:03】 | 教育全般
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【連載】

■「教師の視力検査」(8)

                    
木原ひろしげ(福岡県JEARN会員) 
                 yahsiloam@yahoo.co.jp 


◆ 名 月


もう30年も前、ちょうど今の季節、いつものとおり晩酌でほろ酔い気分のところに、親父
から電話が入った。「孫に今日の満月を見せてやってくれんか」という。これまでの私た
ち父子の関わりにおいて、突拍子のない会話にはお互いに慣れているのだが、今回は
私もまごついた。彼は続ける。口調が神妙である。「俺の目が見えなくなったのが5歳
の時だ。その時に見た満月を今でも覚えている。初孫が今ちょうどその年になった。」 
私はすぐに「分かった」とだけ返事して電話を切った。長女をベランダに連れ出して満
月を見せた。あれから30年、ということは長女は35歳か。親父は2年前に他界した。


今年の中秋の名月は何日だろうと、インターネットを検索してみた。最初のページに、
「名月を とってくれろと 泣く子かな」という一茶の句が紹介されている。私には「名月
を 孫に見せろ という親爺」ではないか。


私はうかつにもこの電話で初めて、父の失明が5歳の時であったことを知った。五つ
の時‥‥、五歳の時‥‥、我が子の今の年齢の時‥‥、そういうことが何回もグルグ
ルと頭の中を回った。自分の五歳の時を思い出そうとするがなかなか記憶が遡れない。
電話では「なかなか美しいものだ、今でもはっきり見える」という。そういうものなのか。


私からすれば、もの心ついた時から、父は目が見えないのであって、その事実は動か
しようのないものであって、例えば「どうして見えなくなったか」とか「見えたくはないか」
とか訊ねたことはない。しかし、「見えたくはないのか」と、何かにつけて、子どもである
私は父にではなくて自分の中で自問自答していたようだ。


見えたいはずだ。私が妻を迎えるという時、母が私にこっそりといった。「嫁さんはどん
な顔かと、お父さんから聞かれたよ。」 そうだろ! やはり見えたいのだ。では、自分
(父)が嫁さん(母)を迎える時はどうだったのか。姿・形を見たかったのではないのか!
文芸趣味の父はあちこちに自分の作品を点字で投稿していた。その中に、「盲(めしい)
我 蛇の姿も なつかしい」(文芸音痴の私は、その正確なテニオハを覚えていないが)
というようなものがあった。ちょっとしたショックを受けた。改めて、「見える」ということを
考え直させるものだった。


私は教師になって、貪欲に教育理論を学んでいた。しかし、その学びの中にいつも「見
る」という隠しテーマを持っていた。多く「見る」、正しく「見る」、鮮明に「見る」、見えるま
で「見る」といった具合に、「教師の視力」が指導のベースにあった。その追求は間違っ
ていなかったろう、と今でも思う。父の盲目という私にとっての事実が私をそうさせた。
そういう時の“名月電話”は大きな衝撃であった。見えない父が見える私をとおして、孫
に見せろというのだ。


教えるということは―――、伝えるということは―――、見せるということは―――。

定年退職を迎えて、今さらそんなことを突き詰めて何が分かるというのだ。分かった
からといってそれが何なのだ。私には分からない。しかし、いずれにせよ、私の場合
は「見る・見える」というテーマからは逃げられないのだ。今となっては、教えるとい
うより、自分自身の‘生’‘命’を、見る・学ぶという立場で。

中秋の名月。また、ベランダで明るい月を眺めることになる。今回は妻と二人だ。


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【2006/12/30 16:00】 | 教育全般
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■「教育とメディア考」(10)谷口泰三
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 梶原末廣@インターネット編集長です。おかげさまで前号で創刊1700号の発行を
終えました。これもひとえにご愛読いただいております読者の皆様、そして何よりも
ご多用の中健筆をふるってくださった方々のお力があればこそです。深く感謝申し上
げます。新たな気持ちで編集・発行して参ります。今後ともご愛顧の程、よろしくお願
い致します。
2006.9.28
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【連載】

■「教育とメディア考」(10)


谷口 泰三(ジャーナリスト:東京都)
inui@mbp.nifty.com


◆ 「学校ホームページ」シリーズその1


◎ページから人影が消えていく◎


ここ10年ほど学校ホームページを断続的にウオッチングしています。ホームページを
通じて学校の様子がよく分かります。特に校内での子どもたちの生き生きした姿は日
常的には見る機会がないだけに、保護者らにも関心を持って見る人が少なくありませ
ん。ところが、ホームページから人影が消え始めているのです。

今回は新潟県の中学校を訪問してみました。全体に写真の数がますます減っていま
す。生徒の姿が後ろ向きやボカシならまだしも、生徒の写真自体が1枚もない学校が
何校も見つかりました。フロントページに自慢の校舎の写真が1枚あるだけ、という具
合です。まるで申し合わせがあるようにどの学校も同じ状態という市もあります。

写真が少ない学校のホームページは、コンテンツもなべて貧弱な印象です。生徒の
写真掲載自粛の掛け声に隠れてホームページを充実させる努力を放棄しているの
では、とさえ疑いたくなります。ただ、それは言い過ぎで、学校が様々なプレッシャー
にさらされているのは間違いありません。


学校ホームページについて取材を進めていて気付くのは、ページが充実するかどう
かはひとえに学校長の理解度にかかっている、ということです。校長がホームページ
で地域に学校を説明していくことの大事さを理解していればいいのですが、逆にITに
反感を抱く校長も少なくないのです。

また「学校を開く」ことへの不安が大きいのだろうと感じることも多くあります。最近も
ある中学校のホームページに勉強質問コーナーができてすぐに閉鎖になった例があ
りました。

子どもたちが掲示板に勉強について質問を書き込んで、先生方がそれに答えると言
う意欲的なコンテンツでしたが、アダルト系の書き込みがされたことで校長の廃止命
令が出たということでした。担当の先生はこまめに掲示板を監視していなかったこと
を悔やんでいましたが、態勢ができるまで少しの猶予もできなかったのでしょうか。

教育委員会や校長の無理解に拍車をかけているのが05年春から完全施行された個
人情報保護法の存在です。なんでも消しておけば安心、と生徒の姿がホームページ
から姿を消していきました。


昨年のことですが、新聞で「生徒の姿が見えるページ作りを進めている中学校」とい
う紹介記事を見て、甲信越地方のある中学校ページを訪ねて驚きました。人物とい
えば校長さんの顔写真が1枚きり。生徒は1人として登場しません。「いったい何が
あったのだろう」。

キツネにつままれた気がしました。記事掲載は5月。ページの最終更新履歴は7月
ですから、この間に何かが起きて変化があったのでしょう。問い合わせ取材をしても
困惑する学校側の顔が見えるようで確かめの電話を入れませんでしたが、たぶん
校長か教育委員会あたりから「目立ち過ぎじゃないの」と圧力がかかったのだと思い
ます。新聞記事がマイナスに作用することはままあります。


「目立たない」という信条とホームページの機能は相反します。しかし、よく事情を聴
いてみると「目立つことの危険」がほとんど吟味されずに危機管理が先行しているケ
ースがほとんどです。「万一」の中身が議論されないまま、「何か起きたとき誰が責
任を取るのか」という方向に流れてしまいがちなのです。


例えば、名前は書かないで女子生徒のアップ写真を掲載したとしましょう。そのとき
想定される事態はどういうものがあるでしょうか。生徒の顔に裸身の写真を合成する
イタズラ写真が公開されたり、あるいは最悪の場合は誘拐が想定されます。

こうした犯罪への対処法はあるか、絶対に回避できないことなのか、などの議論が
徹底されないとホームページに写真が載ることの負の部分ばかりが際限なく拡大さ
れてしまう恐れがあると思います。

しかし、この議論は学校だけでなく社会全体で行なう必要があります。結果的に学
校だけを責めればいい、というのでは学校は逃げ腰にならざるを得ません。

女子生徒のアップ写真について、どんどん載せたらいいのでは、というのが私の見
解ですがそのことについて論じるのはまたの機会にします。校内や通学路、地域社
会を含めた子どもの安全対策全体を語ることになりますから。ただ、よく見られる保
護者の掲載承認を取る努力だけでは責任の転嫁に終ってしまい、解決策にならな
いということは指摘しておきたいと思います。

学校ホームページから人影が消える原因は個人情報保護法だけではありません、
基本的には学校ホームページの意義が学校経営の中できちんと認められていない
ところにあるのではないでしょうか。このシリーズではしばらくの間、学校ホームペ
ージの現況を報告していきたいと思います。

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 谷口 泰三(ジャーナリスト)
 教育タイムイズ http://www.taizou.org
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【2006/09/29 18:26】 | 教育全般
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