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■「教育とメディア考」(10)谷口泰三
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 梶原末廣@インターネット編集長です。おかげさまで前号で創刊1700号の発行を
終えました。これもひとえにご愛読いただいております読者の皆様、そして何よりも
ご多用の中健筆をふるってくださった方々のお力があればこそです。深く感謝申し上
げます。新たな気持ちで編集・発行して参ります。今後ともご愛顧の程、よろしくお願
い致します。
2006.9.28
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【連載】

■「教育とメディア考」(10)


谷口 泰三(ジャーナリスト:東京都)
inui@mbp.nifty.com


◆ 「学校ホームページ」シリーズその1


◎ページから人影が消えていく◎


ここ10年ほど学校ホームページを断続的にウオッチングしています。ホームページを
通じて学校の様子がよく分かります。特に校内での子どもたちの生き生きした姿は日
常的には見る機会がないだけに、保護者らにも関心を持って見る人が少なくありませ
ん。ところが、ホームページから人影が消え始めているのです。

今回は新潟県の中学校を訪問してみました。全体に写真の数がますます減っていま
す。生徒の姿が後ろ向きやボカシならまだしも、生徒の写真自体が1枚もない学校が
何校も見つかりました。フロントページに自慢の校舎の写真が1枚あるだけ、という具
合です。まるで申し合わせがあるようにどの学校も同じ状態という市もあります。

写真が少ない学校のホームページは、コンテンツもなべて貧弱な印象です。生徒の
写真掲載自粛の掛け声に隠れてホームページを充実させる努力を放棄しているの
では、とさえ疑いたくなります。ただ、それは言い過ぎで、学校が様々なプレッシャー
にさらされているのは間違いありません。


学校ホームページについて取材を進めていて気付くのは、ページが充実するかどう
かはひとえに学校長の理解度にかかっている、ということです。校長がホームページ
で地域に学校を説明していくことの大事さを理解していればいいのですが、逆にITに
反感を抱く校長も少なくないのです。

また「学校を開く」ことへの不安が大きいのだろうと感じることも多くあります。最近も
ある中学校のホームページに勉強質問コーナーができてすぐに閉鎖になった例があ
りました。

子どもたちが掲示板に勉強について質問を書き込んで、先生方がそれに答えると言
う意欲的なコンテンツでしたが、アダルト系の書き込みがされたことで校長の廃止命
令が出たということでした。担当の先生はこまめに掲示板を監視していなかったこと
を悔やんでいましたが、態勢ができるまで少しの猶予もできなかったのでしょうか。

教育委員会や校長の無理解に拍車をかけているのが05年春から完全施行された個
人情報保護法の存在です。なんでも消しておけば安心、と生徒の姿がホームページ
から姿を消していきました。


昨年のことですが、新聞で「生徒の姿が見えるページ作りを進めている中学校」とい
う紹介記事を見て、甲信越地方のある中学校ページを訪ねて驚きました。人物とい
えば校長さんの顔写真が1枚きり。生徒は1人として登場しません。「いったい何が
あったのだろう」。

キツネにつままれた気がしました。記事掲載は5月。ページの最終更新履歴は7月
ですから、この間に何かが起きて変化があったのでしょう。問い合わせ取材をしても
困惑する学校側の顔が見えるようで確かめの電話を入れませんでしたが、たぶん
校長か教育委員会あたりから「目立ち過ぎじゃないの」と圧力がかかったのだと思い
ます。新聞記事がマイナスに作用することはままあります。


「目立たない」という信条とホームページの機能は相反します。しかし、よく事情を聴
いてみると「目立つことの危険」がほとんど吟味されずに危機管理が先行しているケ
ースがほとんどです。「万一」の中身が議論されないまま、「何か起きたとき誰が責
任を取るのか」という方向に流れてしまいがちなのです。


例えば、名前は書かないで女子生徒のアップ写真を掲載したとしましょう。そのとき
想定される事態はどういうものがあるでしょうか。生徒の顔に裸身の写真を合成する
イタズラ写真が公開されたり、あるいは最悪の場合は誘拐が想定されます。

こうした犯罪への対処法はあるか、絶対に回避できないことなのか、などの議論が
徹底されないとホームページに写真が載ることの負の部分ばかりが際限なく拡大さ
れてしまう恐れがあると思います。

しかし、この議論は学校だけでなく社会全体で行なう必要があります。結果的に学
校だけを責めればいい、というのでは学校は逃げ腰にならざるを得ません。

女子生徒のアップ写真について、どんどん載せたらいいのでは、というのが私の見
解ですがそのことについて論じるのはまたの機会にします。校内や通学路、地域社
会を含めた子どもの安全対策全体を語ることになりますから。ただ、よく見られる保
護者の掲載承認を取る努力だけでは責任の転嫁に終ってしまい、解決策にならな
いということは指摘しておきたいと思います。

学校ホームページから人影が消える原因は個人情報保護法だけではありません、
基本的には学校ホームページの意義が学校経営の中できちんと認められていない
ところにあるのではないでしょうか。このシリーズではしばらくの間、学校ホームペ
ージの現況を報告していきたいと思います。

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 谷口 泰三(ジャーナリスト)
 教育タイムイズ http://www.taizou.org
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【2006/09/29 18:26】 | 教育全般
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