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【連載】

■「平和学習と地域研究」(1)


                   藤本 文昭(愛媛県)


愛媛県今治市の私立中高に勤務して20年になります。担当教科は英語なのですが、
最近は「総合的な学習の時間」のコーディネイトも兼ねるようになりました。勤務校で
「総合的な学習の時間」が導入されたのは4年前、平成15年です。でも準備のためそ
れより1年前から活動は始めていました。さて、核心部分については次回以降にお
話しするとして、まずは勤務校の概要を紹介します。


生徒数120人、併設の中学校もほぼ同数ですから中高合わせても240人程度の小規
模な学校に私は勤めています。校名は「今治明徳高等学校矢田分校」と言います。
分校なんて名前が災いして、他県の人からは「どこの山奥の分教場か」と思われる
のですが、西瀬戸自動車道(通称しまなみ海道)今治インターから徒歩10分ほどの
比較的都会にある学校です。


平成5年の創立ですからまだ13年ほどの若い学校ですが、母体は今年で創立100
年になる老舗です。その老舗から特進コースだけが暖簾わけされて出来上がった学
校、と言えば大方のどんなものかご想像いただけるでしょう。

設立当初は1日8時間の授業、部活動なし・生徒会なしの「ひたすら勉強する学校」
でした。こんなことを10年も続けていると、進学実績も中の上くらいにはなったので
すが、一向に人気の出ない学校でした。

地元の公立志向の強さもさることながら、在校している生徒が「面白くない学校だ」
と逆宣伝に走るのが一番の弱点だったのでしょう。併設の中学校も生徒が集まら
ず、一時期は3学年全部で40数名ということもありました。しかもこの中学校の在
籍生徒のほとんどが地元の公立の進学校に入学してしまい、そのまま矢田分校に
残るものはほとんどいないという有様です。

結局、進学実績だけでは本当の魅力にはならない。もっと生徒が盛り上がる学校
づくりをしなければ・・・。

そんなころ、平成12年に現在の校長が赴任してきました。


生徒数が減少しては私学経営はできない。何でもいいからやってみろ、というの
が新校長の着任早々の言葉でした。それまで勉強の妨げとして、存在していな
かった部活動や生徒会活動がスタートし、生徒募集の方法も派手になりました。

仕事量もドッと増えます。授業内容の総点検、研究授業の実施、シラバスの作成、
部活動の指導など、減ったのは8時間授業が7時間になったくらいでしょうか。学
力低下を危惧する教員もいましたが、それは杞憂にすぎず、進学成果に大きな
変化はありませんでした。そのような時期に冒頭に述べた「総合的な学習の時間」
の導入が義務化されるようになったのです。

先行していた併設中学では、同一法人の今治明徳短期大学から中国人講師を招
き、「中国語講座」などを試みていました。母体の今治明徳高校は従前より躾教育
の一環で茶道を導入していましたので、それをそのまま「総合的な学習の時間」
に読み替えるという裏技でクリア。

さて矢田分校は? 職員会議で議論はするもののこれといった妙案が浮かびませ
ん。「いっそのこと新入生に問いかければ? 」と、無責任な発言がでる始末。

しかしそれが瓢箪から駒だったのです(今にして思えば、ですが。)ちょうど私が新
入生30名のクラス担任だったのでホームルームで彼らに尋ねました。「来年から
総合学習というのをやるが、何をすればよいか? 」条件は「他校では実施できな
い、本校独自のもの」というもの。色々意見が出たのですが、どれもこの条件をク
リアすることができません。

そんなとき生徒手帳の学校沿革史を眺めていた生徒がこんなことを言いました。

「昭和20年4月26日、米軍機の爆撃により校舎倒壊。校長ほか職員4名、生徒4名
(計9名)爆死。先生、これは何のこと? 」


創立100年の学園母体は当時「今治明徳高等女学校」という学校で創立者であ
る初代校長もろともB29の爆撃で吹っ飛んだということは、私も聞いたことがあ
りました。しかし半世紀以上も昔のことです、現職教員でそのことを知る者もおら
ず、ましてや30代の私が知る由もありません。

「そんな古い話、知らん」と答えると、「これを調べるのはどうじゃろう。」

と生徒たちが言い始めました。これなら「他校では実施できない、本校独自のも
の」という条件をクリアできたからです。

矢田分校での「平和学習と地域研究」という総合的学習のテーマは、このような
いきさつで産声をあげることになりました。

http://www.ima-meitoku.ed.jp/yatabun/index.html

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【2006/12/30 15:57】 | 高校
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